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法月綸太郎著 「ノックス・マシン」

法月綸太郎著 「ノックス・マシン」(角川文庫/2015年11月刊)を読む。

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上海大学のユアンは、国家科学技術局から召喚の連絡を受けた。
「ノックスの十戒」をテーマにした彼の論文で確認したいことがあるというのだ。
科学技術局に出向いたユアンは、そこで予想外の提案を持ちかけられる。
「このミステリーがすごい! 2014年版」 国内編1位!!
珠玉の中篇集。

【収録】 「ノックス・マシン」「引き立て役倶楽部の陰謀」「バベルの牢獄」「論理蒸発-ノックス・マシン2」
あとがき/法月綸太郎 解説/杉江松恋
定価:本体520円(税別)


【点数】 ★★★★★・・・・(5/10)

【感想・コメント】

久々に読んだ著者の「キングを探せ」が面白かったので、近作を調べたら

「このミステリーがすごい! 2014年版」国内編1位だった本作を見つけ、即購入・・・10年近く前の本なので安くなっているしね。

期待して読み始めました。

勝手に法月綸太郎シリーズかと勘違いしておりましたが・・・違うのですね。

本格ミステリを題材にしたSFかパロデイかのメタフィクション。

そしてかなりマニアック。

表題の「ノックス・マシン」は「ノックスの十戒」を知らない私には(作中説明してはくれましたが)「なんじゃそりゃ」でしたしオチも「そうなのね・・・」って感じ。

「引き立て役倶楽部の陰謀」はそれなりに楽しめましたが、こちらもやはりマニアでなければ・・・いや、私のように中途半端なマニアではなく、本当の通(ツウ)の方でならばもっと楽しめた作品でしょう。

「バベルの牢獄」は正直わからん。

「論理蒸発-ノックス・マシン2」は「ノックス・マシン」の完結編。

これもまた「そうなのね・・・」って終わり方でした。

全体的には

説明文と蘊蓄を楽しむお話ばかりでついて行けない人には

正直、あまり面白くなかったですね。

疑問だったのは、何でこんなに読む人を選ぶ作品が「このミス」第1位になったのでしょう?

予備知識なしで、著者なので勝手に本格推だと思い理購入した私も悪いでしょうが。

なので

次回、著者の作品を読もうと思ったら、素直に「法月綸太郎シリーズ」を読みます。

【備考】 2013年「週刊文春ミステリーベスト10」-3位/2014年「宝島社 このミステリーがすごい!」-1位/2014年「原書房 本格ミステリ・ベスト10」-4位/2014年「早川書房 ミステリが読みたい!」-1位

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

長崎尚志著 「闇の伴走者―醍醐真司の博覧推理ファイル―」

長崎尚志著「闇の伴走者―醍醐真司の博覧推理ファイル―」(新潮文庫/2012年3月初版)を読む。

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元警察官の“探偵”水野優希がコンビを組んだのは、容貌魁偉、博覧強記、かつとても感じの悪いフリー編集者・醍醐真司だった。
巨匠漫画家のスタジオに残されていた、未発表作品の謎の解明を依頼されたのだ。
やがて、この画稿と過去の連続女性失踪事件が重なりはじめ――。
『MASTERキートン』はじめ数々のヒット作を手がけてきた著者が全ての力を注ぎ込んだ、驚天動地の漫画ミステリ。

謝辞/長崎尚志 解説-小説家として/村上貴史
定価:本体630円(税別)


【点数】 ★★★★★★★・・・(7/10)

【感想・コメント】

以前にWOWOWのドラマで観て面白かったので、原作小説を購入。

著者は小学館で多くのヒットを飛ばした編集者で、退社後はフリーの漫画原作者として活躍されている方だそうです。

道理で・・・漫画そのものだけでなく漫画業界の裏事情にも詳しく、出版業界に対する批判的なセリフもある訳です。

架空の漫画家を中心としながらも、実在の巨匠、手塚治虫、石ノ森章太郎、白土三平、桑田次郎まで名前が出てくるのは昭和の漫画好きにはワクワクする所です。

読んでいる内にドラマの出演者や風景が浮かんで来てかなり読みやすかったのは、ドラマがほぼ小説に忠実だったからでしょう(頭の中では既に主人公は松下奈緒さんと古田新太さんです)。

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面白かったです。

個人的にはドラマでは余計に思われた(?)“どんでん返しのどんでん返し”は、小説ではすんなりと受け入れられましたね。

語られる蘊蓄も漫画好きじゃなければウザいかもしれませんが、個人的にはもっと出版業界や漫画家の裏話を聞きたいと思いました。

また、登場する架空の漫画家たちは誰をモデルとしているのかも気になります。

とりあえず、ドラマ化されてはいない第2作目があるようなので、そちらも読んでみようかと。

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

追悼 原尞氏

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原尞氏もともとはフリージャズ・ピアニストとして活動していたらしく、1988年、西新宿に事務所を構える中年私立探偵・沢崎を主人公とした『そして夜は甦る』で作家デビューした時には既に40代の遅咲きでした。

しかし、その作風に日本のハードボイルドファンは一発で魅了され、現在に至るまで著者の新作を待ち望む声がやみませんでした。

続く1989年、第2作目の『私が殺した少女』で第102回直木三十五賞受賞し、3作目の『天使たちの探偵』で第9回日本冒険小説協会大賞最優秀短編賞受賞。

順調な滑り出しかと思われましたが、ファンとして焦れてしまうのが、その寡作さでした。

『そして夜は甦る』から第2作『私が殺した少女』発表まで1年半、『私が殺した少女』から第3作『さらば長き眠り』発表まで(短編集を挟んで)6年、『さらば長き眠り』から第4作『愚か者死すべし』発表まで9年、『愚か者死すべし』から第5作『それまでの明日』発表まで14年を要しており、デビュー以来30年で長編5作、短編集1冊、エッセイ集1冊(文庫化にあたり2分冊)と、自他ともに認める寡作、遅筆作家でした。

そのため2018年の新作『それまでの明日』の発刊にファンは歓喜しました(すみません、私は文庫本で集めていましたので歓喜はしましたが我慢していました)。

そして先日やっと文庫本を古本屋で購入したのですが・・・・5月4日に著者が亡くなったそうです。

私が本を買った次の日です。

驚きと共に、これ以上私立探偵・沢崎の活躍を読めなくなるかと思うと残念でなりません。

読まなければならない本が貯まっている中、いつになるかはわかりませんが、残されたこの一冊を大事に読みたいと思います。

20230503honn (1)
『それまでの明日(2018)』

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『そして夜は甦る(1988)』 『私が殺した少女(1989)』 『天使たちの探偵(1990)』 『さらば長き眠り(1995)』 『愚か者死すべし(2004)』

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

ダヴィド・ラーゲルクランツ著 「ミレニアム6 死すべき女(上)」

ダヴィド・ラーゲルクランツ著 ヘレンハルメ美穂/久山葉子翻訳 「ミレニアム 6 死すべき女(上)」 (ハヤカワ・ミステリ文庫/2021年2月初版)を読む。

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ストックホルムの公園で、身元不明の男の死体が発見された。
そのズボンのポケットにはミカエルの電話番号が書かれた紙切れがあった。
法医学者から知らせを受けたとき、ミカエルは聞き流したが、他殺の可能性があると聞いて男の素性を調べ始める。
生前、男は国防大臣について騒いでいたというが……。
そのころリスベットはロシアで双子の妹カミラを追っていた。
今世紀最高のミステリ・シリーズ、ついにクライマックスへ!

訳者あとがき:ヘレンハルメ美穂
定価(本体880円+税)


【点数】 ★★★★★★★・・・(7/10)

【感想・コメント】

上巻を古本屋の110円コーナーで見つけて即購入しました。

で、下巻も探しているのですが・・・まぁ、人気作ですし、シリーズ最終作ですし、2021年文庫化と割と新しいので、そりゃめったにありませんわな。

なので、安価で買うのを諦めて読み始めました。

出だしは上々です。

リスベット側の姉妹対決。

ミカエル側の不審死事件。

それぞれの良いバランスで物語は進み、SNSを介しながらも協力する二人の関係。

そして、やっと二人が邂逅するラスト。

2つの事件がどう絡み、ラストに向かってどう進展するのか?

下巻ですべてが収まるのか心配ではありますが

乞うご期待です。

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※最近の本はご親切に上・下巻の登場人物や場所などを記載した小冊子が付いています。

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テーマ : 文学・小説
ジャンル : 小説・文学

山田風太郎著 「御用侠」

山田風太郎著「『時代・歴史』傑作シリーズ 御用侠」(小学館文庫/2000年11月第1刷)を読む。

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「わたしのものの味がそんなに悪いかえ?」
お公卿の姫のような臈たけた美女はニタリと笑った。その時、「下におれっ。将軍家由貴姫のお成りである」という声がした。
女は道のまん中にしゃがみ込んでいる。侍達は奇怪なうなり声をあげた。
彼らは女の股間の地上にあるものを見た!!
同心・恥ずかし瓢兵衛の頼みで、岡っ引きになった屁のカッパはお数寄屋坊主の河内山宗俊と出会った。彼は北斎の枕絵を使って、幕閣達を揺さぶっていた。酒池肉林とワイロで腐敗しきった権力に挑む痛快活劇。
幻の傑作、遂に初文庫化!!

【収録】
「牧童立志伝」「全然現実的な同心」「二束草鞋の物語」「河内山枕絵草紙」「人間万事いすかのはし」「全に強気は悪のもと」「無残破れ草鞋」 解説:細谷正充(文芸評論家)
定価:本体619円+税


★★★★★★★・・・(7/10)

【感想・コメント】

山田風太郎ファンの中では長らく出版されていなかった幻の作品だったようです。

あとがきを読むと、著者自身の評価は低かったと書いておりますが、私的には

とても面白かった!

出だしは取っ付き辛かったのですが、中盤より俄然面白くなってきました。

そして意外なラストも綺麗にオチがついてお見事。

確かに忍法帖のような奇抜さや派手さはありませんが、悪と正義が入り混じった曖昧な世の風刺は現代社会に通ずるテーマです。

その中で悩み悶えながらも成長する主人公の姿は悲壮でありながらも痛快で、彼を傍観するインテリ同心のシニカルな視点も面白い。

引き込まれるストーリーに魅力的なキャラクター達。

著者の作品群はまさにその通りなのですが、本作は

何だったら私の山田風太郎作品ベスト10に入れてもおかしくはないと思ったのですが

批評を見るとやっぱり他の評価は低いのですね、おかしいな・・・

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

夢枕獏著 「大江戸恐龍伝 (三) 」

夢枕獏著 「大江戸恐龍伝 (三) 」(小学館文庫/2015年12月初版)を読む。

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【内容紹介等】

四年前に京で会った越五屋の主人、三津井庄右衛門から、ある日、平賀源内に思いもかけない依頼が舞い込む―。
息子・庄九郎救出のため、漂着したという南の島への探索をしてほしいというのだ。
島から唯ひとり生還した水夫によれば、向かうべき島は「ニルヤカナヤ」。
黄金の島で、龍が棲むという。
同じ情報を得た和蘭陀国、盗賊・火鼠の一味も加わり、三つ巴の野望が渦巻く中、源内は、三国船「ゑれき丸」を完成させ、杉田玄白らとともに江戸を発つ。
そして立ち寄った琉球で、江戸学者を名のる老人・牧志朝典から加良間に伝わる祭りと目蓋のないユタの話を聴く。
定価:本体670円+税


【点数】 ★★★★★★・・・・(6/10)

【感想・コメント】

やっとです。

やっと物語が動き出した感じがします。

そして、こちらも

やっと面白くなってきやがった!

と言えるようになりました。

もう、参考書物や伝奇の説明は十分でぃ!

いざ、琉球へ、いざ、ニルヤカナヤへ。

GO!GO! ゑれき丸!

次回より新たな展開をきたいしつつ

出来ればキレイに終わってね、夢枕先生。

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

島田荘司著 「御手洗潔の追憶」

島田荘司著 「御手洗潔の追憶」 (新潮文庫nex/2016年5月第1刷)を読む。

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海外へと旅立った御手洗。
彼は今、どこに――。
ちょっとヘルシンキへ行くので留守を頼む――。そんな置き手紙を残し、御手洗潔は日本を去った。石岡和己を横浜の馬車道に残して。その後、彼は何を考え、どこで暮らし、どんな事件に遭遇していたのか。
ロスでのインタビュー。スウェーデンで出会った謎。明かされる出生の秘密と、父の物語。
活躍の場を世界へと広げた御手洗の足跡を辿り、追憶の中の名探偵に触れる、番外作品集。
定価:本体590円(税別)


【点数】 ★★★★・・・・・・(4/10)

【感想・コメント】

先日読んだ著者の「屋上」が思い切り笑えたので続けて御手洗シリーズを。

多分シリーズで読んでいないのは

スピンオフみたいな「ハリウッド・サーティフィケイト」と

推理小説ではないので途中で読むのを止めた「進々堂世界一周 追憶のカシュガル」と

比較的新しい本作と「鳥居の密室 世界にただひとりのサンタクロース」かな。

なので、短編で読みやすそうな本作を購入。

【収録作品】 「御手洗潔、その時代の幻」「天使の名前」「石岡先生の執筆メモから。」「石岡氏への手紙」「石岡先生、ロング・ロング・インタヴュー」「シアルヴィ」「ミタライ・カフェ」 あとがきに代えて:島田荘司

期待して読みましたが

なにこれ?

小説じゃないの?

ただのファンサービスのオタク本?

私が読みたかったのは本格推理。

本格推理ではないお話を御手洗シリーズと呼ぶのは

私はどうかと思います。

ざっと斜め読みしたら、全然面白くないので

即売り飛ばします!

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

マイ・シューヴァル& ペール・ヴァールー著  「笑う警官」

マイ・シューヴァル& ペール・ヴァールー著 柳沢由実子訳 「刑事マルティン・ベック 笑う警官」(角川文庫/2013年9月第1刷)を読む。

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反米デモの夜、ストックホルムの市バスで八人が銃殺された。
大量殺人事件。
被害者の中には、右手に拳銃を握りしめた殺人捜査課の刑事が。
警察本庁殺人捜査課主任捜査官マルティン・ベックは、後輩の死に衝撃を受けた。
若き刑事はなぜバスに乗っていたのか?
デスクに残された写真は何を意味するのか?
唯一の生き証人は、謎の言葉を残し亡くなった。
捜査官による被害者一人一人をめぐる、地道な聞き込み捜査が始まる―。
アメリカ探偵作家クラブ賞受賞。
警察小説の金字塔、待望の新訳!

なぜマルティン・ベックは笑わない?:オーサ・ラーソン(作家) 訳者あとがき:柳沢由実子 解説:杉江松恋(書評家)
定価:本体819円(税別)


【点数】 ★★★★★★★★・・(8/10)

【感想・コメント】

ミステリファンにはあまりにも有名な警察小説ですが、私は読んだ事はありませんでした。

ですが最近、「ミレニアム」「特捜部Q」と北欧ミステリにハマっているので、本作がスウェーデンの作品と聞き興味が沸き購入。

1968年発刊の「マルティン・ベックシリーズ」の第4作で、日本では1972年に文庫版で発行されています。

今回購入したのは2013年にスウェーデン語からの直訳による新訳版です。

こんなに経って新訳版が出るなんて余程の作品・・・・なのでしょね。

期待して読み始めました。

読んでいる途中で鑑賞したアメリカの映画版が期待以下だったのでちょっと心配していましたが、小説は出だしより引き込まれ、あれよあれよと言う間に終了。

これって

めちゃくちゃ面白いよ!

古典と言うから今となっては古くて驚きはないお話と(多少は)覚悟していましたがそんな事はありませんでした。

確かに、基本は聞き込みばかりで、展開は遅いし盛り上がりにも欠け、真犯人の影が見えないままあと数十ページとなった時にはとても心配になりました。

しかし、この癖のある刑事たちの群像劇と一つずつ事実積み上げる地道な捜査の場面は退屈するどころか前のめりになって読んでいましたね。

当時のスウェーデンの風景と世相風俗が垣間見えるのも興味深い。

また、捜査官それぞれの家族や私生活の描写も良いアクセントになっていました。

映画では全然触れられなかった「笑う警官」の意味も理解できましたし。

最後に笑わない警官である主人公が人知れず無言で拳銃の弾を抜いた場面はシビれましたね。

個人的には(「特捜部Q」ほどではないにしろ)、シリーズの他の作品も読みたいと思った作品です。

これは読んでおいて良かった一冊です。

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◆Maj Sjöwall&Per Wahlöö 「Den skrattande polisen」(1968/SWE)

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【以下は趣味です】

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

誉田哲也著 「オムニバス」

誉田哲也著 「オムニバス」(2021年2月初版/光文社)を読む。

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警視庁刑事部捜査一課殺人班捜査第十一係姫川班の刑事たち、総登場! 捜査は続く。人の悪意はなくらない。激務の中、事件に挑む玲子の集中力と行動が、被疑者を特定し、読む者の感動を呼ぶ。刑事たちの個性豊かな横顔も楽しい、超人気シリーズ最第10弾!

〇「それが嫌なら無人島」
青戸三丁目のマンションで女子大生が殺された事件。被疑者とされた男が別件で本所署に勾留されていたため、葛飾署の特捜本部に入っていた玲子はじりじりしていた。ようやく本所署から解放された被疑者だが、あやふやな供述で否認をくりかえす。本所署の案件が関係しているのか……。
〇「六法全書」
五日市署管内で自死した男の家から女性の腐乱死体が発見され、姫川班の刑事たちは特捜に入る。身元不明のこの女性、いったいどこから現れたのか? 自死した男との関係は? 姫川班の巡査部長・中松信哉は、所轄の若い女性警官とのコンビに苦手意識を感じながら、玲子の一足飛びの発想と迷いのない行動力を、あらためて目の当たりにする……。
〇「正しいストーカー殺人」
ストーカーが、ストーキングしていた女性に殺されたという。これが本当の「ストーカー殺人」……? 玲子たちは、身の上も、ストーカーとの関係性もほとんど語ろうとしない被疑者の正体と、殺害にいたるまでの顚末を、地道な捜査(一部、玲子の先走りアリ)で突き止めていく。彼女は、本当にストーキングされていたのか?
〇「赤い靴」
男を殺したと、若い女が自首してきた。彼女の自宅には、確かに男の死体があったが、死因は女の供述とは食い違っている。現場から押収したパソコンに入っていた大量のテキストデータを手分けして読み、取調べを担当した玲子は、彼女が「殺ってる」と言い切るが、姫川班のベテラン女性刑事・日野利美は、確信が持てないでいた。それは、決して玲子がいけ好かなくて、彼女と同じ意見を持ちたくないからではなく……。
〇「青い腕」
男を殺したと自首してきた若い女、自称ケイコだったが、身の上については一向に語ろうとしなかった。死んだ男とケイコは、どのような関係だったのか? 玲子と日野は、身元が明らかになった男の母親をたずね、心当たりがないか、再度確認することにした。いったんは「知らない」と言った母親だったが、隠していることがあるのだろうか……?
〇「根腐れ」
覚醒剤所持で自首してきた売れっ子女性モデルの取調べを頼まれた玲子。たまたま、他の班員が席を外していた関係で、相棒に指名された小幡浩一は、ミーハーな好奇心を気取られないよう必死だった。一方、そういうことにあまり興味がなさそうな玲子も、取調べでは、俳優の仕事にも進出した被疑者の出演作の批評に余念がない。これで事件の真相は明らかになるのか……?
〇「それって読唇術?」
東京地検の武見諒太に、行きつけのバーに呼び出された玲子。これは、デートなのか? それにしては、ずいぶんと待たされているが……。遅れてやってきた武見に、玲子は「武見さんが、一番耐えられないことって、なんですか」と問いかける。多少酔いが回ってきたせいもあるかもしれない。武見の返答は予想以上に長く、彼を形作っている過去の一端がうかがえる話だった……。

定価(本体1,500円+税)


【点数】 ★★★★★★★・・・(7/10)

【感想・コメント】

2021年発刊の姫川玲子シリーズ最新刊。

文庫になるまで待つか・・・・と諦めていましたが、古本屋で220円で売っていたので即購入。

文庫より単行本の方が早く安くなるので、最近は単行本を買うのが多いかな・・・売る時は安いけど。

前作「ノーマンズランド」ではサラッと流されていた姫川の事件が語られる「それが嫌なら無人島」を始めとし、今まではあまりキャラクターが見えてこなかった殺人班捜査第十一係の面々からの視点で描かれる姫川と事件群。

好きな人には安定の面白さです。

ただ個人的には、

以前の短編の完成度から比較すると

今回は物足りないかな・・・と

だからでしょうか。

最終話の「それって読唇術?」では意外な人物の名前が姫川より語られます。

次回からはあのシリーズとこの姫川シリーズを一緒にして、マンネリ化の打破を狙っているのでしょうか。

もしくは

1つの事件を姫川側から観た本シリーズと

もう一つのシリーズ側から観た事件として二つの作品に?

楽しみではありますが、ちょっと心配。

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テーマ : ミステリ
ジャンル : 小説・文学

ピエール・ルメートル著 「監禁面接」

ピエール・ルメートル著 橘明美翻訳 「監禁面接」(文春文庫/2021年1月第1刷)を読む。

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【内容紹介等】

リストラで職を追われたアラン、失業4年目、57歳。
再就職のエントリーをくりかえすも年齢がネックとなり、今は倉庫でのバイトで糊口をしのいでいた。
だが遂に朗報が届いた。
一流企業の最終試験に残ったというのだ。
だが最終試験の内容は異様なものだった。
〈就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ――〉
どんづまり人生の一発逆転にかけるアラン。
愛する妻と娘たちのため、知力と根性とプライドをかけた大博打に挑む!

解説:諸田玲子(作家)
定価(本体価格880円+税)


【点数】 ★★★★★★・・・・(6/10)

【感想・コメント】

そろそろ安くなってるんじゃないかな・・・・なんて思いながら古本屋を覗いていたら

ありましたね。

2021年に文庫化された著者の新作。

煽り文では

『その女アレックス』の鬼才ルメートルが放つ徹夜必至、一気読み保証のノンストップ再就職サスペンス。

期待して読み始めました。



本作は「そのまえ」「そのとき」「そのあと」の三部構成。

出だしの「そのまえ」はやたらと詳しい描写と複雑な人間関係があるので『その女アレックス』の怒涛の展開を期待した身としては出だしで「ちょっと落ち着けや」と出鼻をくじかれたような気分。

先の展開が読めないのも相まって、面接開始まではちょっと退屈しましたが、やっと面接本番である「そのとき」が始まると、あれよあれよという間に終了で、主人公の逮捕。

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「あれ、現場にて一発逆転じゃないのか?」

とこちらも予想が外れ、戸惑っていたら

「そのあと」から主人公と企業の家族とプライドを賭けたコンゲームが始まります。

そう、ここからが本番です。

「そのまえ」「そのとき」の伏線回収で、二転三転と仕掛けられた罠が予想不能にどんどんと明かされるか・・・・

って期待したのですが、

面白かったし、たしかに良作ではありますが

「アレックス」のような残虐場面はないがカタルシスも無し。

巧みなどんでん返しはありますが、読後の爽快感はありません。

う~ん、少々期待し過ぎたかも。

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◆Pierre Lemaitre「Cadres noirs 」(2010/FRA)

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