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歌野晶午著 「館という名の楽園で」

歌野晶午著 「館という名の楽園で」(祥伝社文庫/2002年刊)を読む。

館と言う名の楽園で

「奇妙な殺人事件は、奇妙な構造の館で起こるのが定説です」

三星館と名づけられた西洋館の主は、四人の招待客にある提案をした。

それぞれが殺人者、被害者、探偵役になって行なう“殺人トリック・ゲーム”である。

そして今、百数十年前にイギリスで起こった事件が再現される!

時空を超えて幽霊のごとく立ち現われる奇怪な現象、謎、さらに最後の惨劇とは。


この手の作品は

館で行われる殺人トリック・ゲーム中、本当の殺人が起き、さらに外界からも隔離され・・・

ってパターンが多いのだが、本作はそんなことは起きない。

館でありながら

登場人物たちのドロドロした人間関係も、

遺産相続に絡む骨肉の愛憎劇も、

この地に巣食う古からの呪われた因縁も、

そんなものは何もなし!

おまけに一番重要な“殺人事件”までも起きない。

あくまで館の主人とその妻と4人の招待客(みな推理小説ファン)で行われる架空の事件であり、ゲームである。

したがって緊張感はなく、わきあいあいと話は進むが、謎解きは立派な本格推理。

(ページも少ないので)“驚愕”や“奇想“とはいかないまでも、トリックとしては良く出来ている。

また、作品全体に“館=本格推理”に対する著者のこだわり(愛情と言ってもいいかな)が感じられる作品である。

「館を手に入れたい!」と熱く語る場面に共感できる人は少ないだろうけど・・・。

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テーマ : 推理小説・ミステリー
ジャンル : 本・雑誌

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