荒雑録

映画、小説、漫画他、個人的趣味の感想、記録。

大沢在昌著 「標的走路 レスリーへの伝言」

Posted by Tommy荒野 on   0 comments   0 trackback

大沢在昌著「標的走路 レスリーへの伝言」(ジュリアン/ジュリアーノぶんげい/2008年刊)を読む。

20160427-019

爆弾は冗談事ではない。
だが、余りにも信じられない出来事である。誰かが僕を殺そうとしたのだ…。時をこえてなお活躍する主人公・佐久間公の行く手に待ち受けるのは? (=「標的走路」)

ある日の深夜、「僕」はビリヤード場で混血の美青年レスリーと出会う。
法律事務所で「調査士」として失踪人を探し出すことを生業とする「僕」のもとに持ち込まれた仕事は、映画の撮影所から姿を消したレスリーを探し出すことだった...。(=「レスリーへの伝言」)

調査士・佐久間公の活躍を描く大沢在昌の人気シリーズ、その始点ともいうべき中篇「レスリーへの伝言」が初の単行本化。

同シリーズ幻の処女長編「標的走路」も復刊収録。

大沢ファン待望の一冊です。


★★★★★★★・・・(7/10) 

「標的走路」は1986年に文庫化された「失踪調査士・佐久間公シリーズ」の2作目で初の長編です。

また、「レスリーへの伝言」は同シリーズが始まる前に描かれた中編で、

1977年に第51回オール読物新人賞候補となった作品ですが、今まで文庫化されていなかった(私も知らなかったのですが)シリーズの始点ともいうべき幻の作品らしいです。

まぁ、幻と言っても、文庫化されなかった理由は著者の人気が無かったからでしょうが、1990年に著者がブレイクした後には、同シリーズの短編「感傷の街角」「漂白の街角」、長編「追跡者の血統」は再度文庫化され私も読む事が出来ました。

しかし、この「標的走路」だけは・・・絶版になっていたのかは、さだかでは無いのですが・・・見つけられず、以来ずっと読みたいと思っていた一編です。

そんな私の様な「新宿鮫」以後の大沢ファンに対し

・・・嫌らしい言い方ですが・・・

読んでいないであろう「標的走路」を再文庫化し、
未文庫化の「レスリーへの伝言」で付加価値を与え、
文庫本では無くノベルズの価格で売ってやろう!


としたのが本書だと想像します。

勝手な想像ですが。



悔しいから古本屋で安く売られるまで待ってやろうと思い・・・やっと108円で購入し、読みました。

BMW633001

「標的走路」は同シリーズとしては一番スケールが大きい作品です。

中東の石油の利権をめぐって、クーデター、テロ事件、CIA、内閣調査室など、一人の探偵が抱えきれないほどの危ない問題を主人公が解決します。

リアルと非リアルの中間とでも言いましょうか、著者独特の世界観があるので、そこはそれで楽しめるアクション・ハードボイルドになっているのですが・・・・・

ちょっと会話が気恥ずかしいです。

時代を感じます。

おしゃれに気を使い、自分を「僕」と言う主人公。

ダブルのスーツにディスコにナンパ。

オールドクロウにBMW。

公も作者も若いと感じます。

内様的にはそれほど時代を感じさせないのですが、本作を初めて読んだ方は、主人公がなぜメールをしないのか?携帯を持っていないのか?なぜネットを見ないのか?不思議に思う事でしょうね。

それに比べ「レスリーへの伝言」は・・・コチラの方が先に書かれていると聞きましたが、静かな大人のハードボイルド・・・って事を意識した作品でしたね。

短編ですが、青いながらも味わい深く、確かに大沢ファンには「標的走路」と同じぐらい貴重な作品だと思います。

何となく大沢版「ロング・グットバイ」かな・・・とも感じました。

とりあえず“やっと読む事が出来た”と言う満足感で一杯です。

多分、再読はしないでしょう・・・気恥ずかしいから・・・。

o-rudokurou

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