佐々木譲著 「カウントダウン」
佐々木譲著 「カウントダウン」 (新潮文庫/2013年刊)を読む。
市長選に出ろ。
オフィスに現れた選挙コンサルタントは、いきなりそう告げた。
夕張と隣接し、その状況から双子市と称される幌岡市。
最年少市議である森下直樹に、破綻寸前のこの町を救えというのだ。
直樹の心は燃え上がってゆく。
だが、二十年にわたり幌岡を支配してきた大田原現市長が強大な敵であることに違いはない。
名手が北海道への熱き想いを込めた、痛快エンターテインメント。
★★★★★・・・・・(5/10)
一応、舞台は夕張市と隣接する架空の市となっていますが、著者が描きたかったのは「どうして夕張市は財政破綻をしたのか?」と言う事なのでしょう。
それだけにかなり説明的な部分が多く、特に財政の赤字隠しのカラクリなどは細かくリアルなのですが、物語の中心である主人公の市長選より、そちらの方に比重が寄っている気がします。
この手の物語は主人公が逆境に立てば立つほど最後の大逆転が痛快なのですが、本作では多少の妨害工作や裏切りはあるものの、期待したほどの波乱は無く、あれよあれよと言う間に当選。
展開が早いのは良いのですが、全てに描き込みが足り無く思え、本来描くべき部分の表面だけをなぞって終わった気がします。
読んでいる途中、残りの頁が少なくなるにつれ「まだ、クライマックスじゃないよな・・・これで本当に物語が完結するのか?」と不安にかられましたが・・・案の定でした。
本来ならば倍の厚さを必要とする作品だと思うのですが、著者としては私欲にまみれた役人たちをフィクションと言う形で告発して満足したのかも・・・・
帯の謳い文句である「名手が北海道への熱き想いを込めた」の意味が
「想いだけで中身が薄い」って言っている様に聞こえるのは私だけでしょうか?

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