荒雑録

映画、小説、漫画他、個人的趣味の感想、記録。

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トマス・H・クック著 「鹿の死んだ夜」

トマス・H・クック著 染田屋茂訳 「鹿の死んだ夜:Blood Innocents」(文春文庫/1994年刊)を読む。

20150913-015

初老の殺人課刑事リアダンが指名を受けて担当することになったのは、動物園の鹿の惨殺事件。

実業界の大立者が寄贈した鹿だけに、市警全体がピリピリする“取扱い注意”事件だ。

穏便に一件落着としたい上層部の意向をよそに、刑事の直感は冴える、この事件は人間に及ぶ…と。

クックの魅力が存分に発揮されたMWA賞候補の処女作。

★★★★★★★・・・(7/10)  


1980年に出版された著者の処女作です。

もう何作も著者の作品を読んでいますが、本作を読んでいなかったのが自分でも不思議です。

いつものごとく暗いお話ですが、処女作とは思えないほど“クックらしい”物語。

緻密で繊細な描写と積み重ねるような展開は既に著者のスタイルが確立されています。

猟奇的な動物の殺害事件から同じ手口の殺人事件へと繋がる出だしは当時流行ったサイコサスペンスを連想させますが、本作が描く人の心の闇は見てくれではなく深くて重い。

主人公の目を通して映る暴力により虐げられた者たちの姿は、読む側に哀惜と慈しみだけではなく自信に対する激昂と苦悩を感じさせます。

とても面白かったです。

ただ、昨今の著者の作品と違う部分を無理やり探すとしたら

本書はほんのりと希望のあるラストだった

って所でしょうか。

※表紙の人物はだれ?

◆Thomas H. Cook 「Blood Innocents」 (1980/USA)

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テーマ : 推理小説・ミステリー  ジャンル : 本・雑誌

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