首藤瓜於著 「指し手の顔 脳男2 (上・下)」
首藤瓜於著 「指し手の顔 脳男2(上・下) 」(講談社文庫/2010年刊)を読む。
【上巻】
「わたしの顔を見た罰よ」
闇の中で囁く女の声がじわじわと心を破壊する。
元関取が愛宕(おたぎ)市内で突然暴れて多くの死傷者を出し、精神科の入院歴が問題にされた。
他にも事件を起こした元患者たちが揃って直前に行方不明になっており、精神科医の鷲谷真梨子は患者の話から監禁に使われた小屋を探しあてた。
が、事件の鍵を握る医療ブローカーと小屋を監視していた刑事2人が殺される。
【下巻】
その瞬間、彼女は永遠に声を失った。
罪と怒りと正義の行方 問題作がスケールアップ。
連続爆破事件の共犯者という疑惑が残る鈴木一郎が連続殺人犯だというスクープが地元紙に載る。
かつて精神鑑定を担当した真梨子に注目が集まる中、警察捜査の裏をかくように行動する鈴木一郎。
残虐行為を繰り返す美貌の殺人者とは何者なのか?
乱歩賞受賞作『脳男』から7年、更なる問題作が満を持して登場。
★★★★★★・・・・(6/10)
前作同様、私には多少取っ付き辛い文章でしたが、「脳男」の続編と言う事で、期待と勢いで一気に読了しました。
が
う~ん、どうでしょうか。
正直、長い。
本作が小説としてのエンタメ性を求めるなら、倒錯する殺人鬼の心情、精神病医学の細かな説明など、あまりにも冗長な部分があり過ぎて物語のテンポを崩しているように思えます。
また、3人の主人公(女医、刑事、脳男)の行動も物語の流れとして無駄な部分が多いように感じました。
本作が精神病に対しメッセージ性を持ったリアルな犯罪小説ならば、各部分の詳細な説明や宛ての無い行動などは必要でしょうが、読者が望むのはそこでは無いでしょう。
警察内部での軋轢や反発なども描いていますが、これも物語として必要だったのでしょうか?
どっちつかずの中途半端な世界観に思えましたし、第一、登場人物に猿給黎なんて名前がついている物語にリアル感はないでしょう。
なにより不満なのは
読者はやはり続編と言う事で脳男の活躍を期待しているので、彼の登場が少なすぎるのと前半の意味不明な行動に戸惑いを覚えます。
終盤で大活躍をしてくれるのかと期待しましたが、結局は彼が何をしたかったのか、私には理解できませんでした。
ラストは前回と同じく、次回作へのプロローグ。
・・・・・・
面白い事は面白かったし、次回に期待もするのですが、期待が大きかった分、落胆も大きいです。
私的には本作を読んで
精神疾患の治療と歴史とか、人の道徳観とか、精神の価値など考えさせられる
そんな期待は毛頭無いので、
ダークヒーロー脳男が活躍するクライムノベルに徹して欲しいと思います。

※1kgステーキ
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