荒雑録

映画、小説、漫画他、個人的趣味の感想、記録。

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花村萬月著 「ワルツ」

花村萬月著「ワルツ(上・中)」(角川文庫/2011年刊)を読む。

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終戦直後の新宿。街の殆どが瓦礫と化し、明日の行方も見えぬ混乱の中、三人の男女は出逢う。僅かな金と煙草で組事務所の襲撃を請け負った特攻崩れの城山龍治。朝鮮人であることを隠しながら頭脳と美貌でのしあがろうとする林敬元。疎開先で強姦されそうになり東京へ流れてきた天涯孤独の生娘・岡崎百合子。苛酷な運命に抗いながら見えない糸で絡まり合っていく三人の壮絶な人生を描破した、昭和スペクタクル小説、ここに開幕。【上巻】

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占領下の新宿。城山は彼を慕う血気はやる若者に担がれ、城山組をたちあげる。新宿へと流れ着いた百合子は博徒・館岡組に身を寄せ、組長と結ばれる。一方、己の暴力衝動が抑えられなくなった林は米兵狩りを始め、彼らに襲われた百合子を助けたことが縁で、館岡組の食客となる。城山と林は百合子の凛とした美しさに惹かれていく―。極上の三角関係が奏でる闘争と恋情の瞬間。魂揺さぶるエンタメ巨編、いよいよ佳境へ。【中巻】

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百合子。城山。林。互いに惹かれ合うも添い遂げることができない三人の恋情は、城山組と館岡組の抗争で引き裂かれていく。一度は、共通の敵・利根川を倒すために手を結んだ城山と林だが、二人は百合子を巡って闘わねばならぬ運命にあった。館岡組を継承し、母となった百合子がその時とった行動とは…。三人の抑え切れぬ情愛の果てにあるものは何か。人間の本性を極限までに描いた大河小説、堂堂の完結。 【下巻】

★★★★★★★★・・(8/10) 


著者独特の性愛と暴力と哲学が、戦後の日本と言う秩序の破壊された舞台の上で、濃密に描き出された怒涛の2300枚の大作。

長けりゃいいってモノでも無いし、著者の作品として傑作は他にあるのですが、本作は上・中・下巻を一気に読ませてくれる魅力ある、ノワールと東映任侠映画と日活ロマンポルノとアイデンティティーの大河ドラマです。

途中で日本の歴史的事実を織り交ぜる事で、戦後の日本の復興とその裏にあった事実を主人公たちの思考や生き方に照らして描いた部分は私的にはちょっとウザかったと思う所はあるのですが、久々の萬月節に陶酔・・・いや泥酔しました。

とても面白かったです。

登場人物三人が奏でるワルツはもとより、彼らの周りの脇役も光っていましたね。

私が特に印象に残ったのは林による山の上での二人の暗殺です。

読んでいるコチラ側が一瞬「えっ、何が起こったの!何で?」となってしまう場面でした。

長いお話しなのでこれ以上何がどう良かったかは面倒臭くて書く気はしませんが、著者が最後に選んだ「生への肯定」が今までの作品とは一味違う結末を導き出し物語自体に光を与えています。

読みながら「どこで林は殺されるのか」と身構えていた私にとっては、このラストは驚きであるとともに、新しい萬月作品の幕開けとも感じました。

ただ、やはりそこの部分が不満と言えば不満な部分でもあるのですが。

20151124-001

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