荒雑録

映画、小説、漫画他、個人的趣味の感想、記録。

ジョン・ル・カレ著 「寒い国から帰ってきたスパイ」

Posted by Tommy荒野 on   0 comments   0 trackback

ジョン・ル・カレ著 宇野利泰訳 「寒い国から帰ってきたスパイ:The Spy Who Came in from the Cold」(ハヤカワ文庫/1978年刊2006年31刷)を読む。

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イギリスの情報機関である秘密情報部(ケンブリッジ・サーカス)のベルリンにおける責任者アレック・リーマスは、東ベルリンとの間にある検問所でスパイのカルル・リーメックが現れるのを待っていた。

東ドイツ政府高官であるリーメックは、これまでサーカスのために働いてきたが、スパイ網の構成員が大量に逮捕され危険が迫り、亡命することになっていた。

検問所を無事に通過したと思われた瞬間、東側の人民警察が発砲しリーメックは射殺された。

リーマスは、元ナチスで冷酷な東ドイツ諜報部副長官のムントが背後にいることを確信する。

ベルリンの壁を境に展開される英独諜報部の熾烈な暗闘を息づまる筆致で描破! 

作者自身情報部員ではないかと疑われたほどのリアルな描写と、結末の見事などんでん返しとによってグレアム・グリーンに絶賛され、1963年英国推理作家協会ゴールド・ダガー賞、1965年アメリカ探偵作家クラブエドガー賞 長編賞を獲得したスパイ小説の金字塔!

★★★★★★★★・・(8/10) 

先日観た映画「裏切りのサーカス」にシビれ、初めて著者の作品を読みました。

冷戦を舞台に東側諸国と水面下で争う西側諸国の諜報活動が民主主義と矛盾する現実を描いたスパイ小説です。

著者自身もかつてMI6に所属し、西ドイツのボン駐在のイギリス外交官に偽装して情報活動に従事していたせいもあり、徹底したリアリズムをもって苛烈な現実に翻弄される諜報員の姿を描いています。

めちゃくちゃ面白かった。

映画にしろ小説にしろ、このようなスパイ物に私が餓えていたせいもあるのでしょう。

今更ながらとお思いの方も多いでしょうが、私がスパイ小説を好んで読んでいた学生時代に著者の作品を手に取らなかった事が悔やまれるくらいです。

著者の「僕がこの小説で、西欧自由主義国に示したかった最も重要で唯一の物は、個人は思想よりも大切だという考え方です。」との言葉は冷戦を過ぎた今の時代でも重く受け止めるべき言葉であり、だからこそ50年以上たった今でも読まれている理由でしょうね・・・まぁ、単純にスパイ小説として面白いって言うのが一番の理由でしょうが。

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本作は1965年に「寒い国から帰ったスパイ」(原題は同じ)として1度映画化され、私も以前に観ているはずですが、記憶は薄くて・・・・こちらの原作の方がハラハラしたように思えます。

作中、脇役としてスマイリーが登場しますが、その後の彼が主役の作品とは同じ人物として辻褄は合っているのでしょうか。

そんな事を気にしつつ、今年より著者の他の作品を読みはじめようと思います。

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◆John le Carré 「The Spy Who Came in from the Cold」 (1963/GBR)

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