荒雑録

映画、小説、漫画他、個人的趣味の感想、記録。

スティーヴン・キング著 「1922」

Posted by Tommy荒野 on   0 comments   0 trackback

スティーヴン・キング著「1922」を読む。

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8年前、私は息子とともに妻を殺し、古井戸に捨てた。

殺すことに迷いはなかった。

しかし私と息子は、これをきっかけに底なしの破滅へと落下しはじめたのだ…

罪悪のもたらす魂の地獄!恐怖の帝王がパワフルな筆致で圧倒する荒涼たる犯罪小説「1922」と、黒いユーモア満載の「公正な取引」を収録。

【収録作】
「1922:1922」 訳:横山啓阿明
「公正な取引: Good Marriage」 訳:中川聖
・作品解説 編集部


★★★★★★★・・・(7/10) 

キングの4編収録の短編集「フル・ダーク・ノー・スターズ:Full Dark,No Stars」を2編ずつ2冊に分冊した内の1冊。

もう1冊の「ビッグ・ドライバー(「素晴らしき結婚生活」併催)」は以前に読んで面白かったのと、先日読んだ「ブルックリンの八月」がいまひとつだったのも相まって期待して読み始めました。

表題作「1922」は著作「ドロレス・クレイボーン」を髣髴させる内容で、殺人者の告白によって物語は進みます。

いわゆるホラーではないかもしれませんが、主人公とその息子のじわじわと追い詰められる描写に引き込まれ、一気に読むことができました。

タイトルである時代背景とそのディテールの積み重ねのリアルさ、おまけに途中より登場する死人の幻覚の不気味な描写はキングの真骨頂ですね。

併載の「公正な取引」は悪魔との契約のお話で、なんとなく著作の「ニードフル・シングス」を思い出させます。

ただ、本来ならば悪魔と契約した者が最後に破滅するか、悪魔と対立してオチがつくのが定石ですが、こちらは契約者がどんどん成功し、その厄災を担う人物がどんどんと不幸になっていくと言う、どうしようもなく「不公平」なお話です。

裕福になっていく自分のせいで、破滅していく人間を、ちゃんと正視し受け入れられるか?

その問いに対し著者は「1922」とは真逆の結論を出しています・・・ちょっと物足りなくは感じますが。

両作品とも救いがなく後味の悪いお話ですが、この嫌な気分がキング作品の最大の魅力(苦笑)。

最近、当たり外れが多いと感じてしまうキング作品ですが、本書はその健在ぶりを見せてくれた気がします。

また、こちら2作は映像化されていないようですが「ビッグ・ドライバー」と「素晴らしき結婚生活」は映像化されているらしいので、そちらがレンタルされるのも楽しみです。

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◆Stephen Edwin King 「Full Dark,No Stars」 (2010/USA)

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